「沙織ちゃんがうまくいくといいけど。時間はかかるかもしれないけどな」
先生は、グラスをテーブルに置いて、カーテンを開けた。
「そうだね。沙織は妹のことで辛い思いいっぱいしてるから、絶対に幸せになって欲しい」
最近また妹が家出をしたと言っていた。
「直の友達で彼氏いない子って他にいたっけ?」
「桃子は翼先生と両思いになれたし、美穂もあゆみもラブラブだし・・・・・・」
「直は、もう片思いすることは一生ないんだから、これからは友達の恋の応援だな」
改めて、“一生片思いをすることがない”と言われてみると、不思議な感じがする。
「そっか。私、もう片思いすることないんだね」
「そうだよ。でも、俺の方が年上だからなぁ・・・・・・おばあちゃんになった直がひとりぼっちになった時に、誰かに恋をするかもしれない」
「しないもん!!」
絶対にしない。
先生と約束したもん。
一生、先生としか・・・・・・キスしないもん。