「せんせぇ~、走ってもいいの?廊下~」 「だめだけど~!!今だけはOK!!」 手を繋ぐ。 あの日、こんな風に走ったね。 卒業式の日。 中庭の噴水を横目に見ながら・・・・・・走ったね。 音楽室の前で、立ち止まる。 「なぁ、直。あの時みたいに俺の背中、叩いてみて」 「あの時?」 「ああ、初めてここで俺に話しかけてくれた時」 「・・・・・・うん」 覚えててくれた。 そのことが嬉しい。