遠い昔のようだけど、あの時の気持ちははっきりと覚えている。
先生に別れを告げられた。
「別れたくなかった。俺・・・・・・本当に、言い出せなくて・・・・・・」
「耳にキスした後に言ったんだよ、先生」
「そうだったな。お前に手を出しそうだから別れるって俺は言ったんだよな」
先生は、このままじゃ俺はだめになるって言った。
卒業まで待っていてって。
あの時、体が冷たくなっていくような気がした。
これからずっと一緒にいられると思ってたんだもん。
「でも、本当の理由は違ったんだよね。先生、優しすぎる」
「お互いに、お互いのこと考えすぎてたんだよな。俺達って。素直に自分の気持ちを言ってれば、別れずに済んだのに」
わがままになりなよってお姉ちゃんが言ったことを思い出す。
わがままになれたら、遠回りせずに済んだね、私達。
でも、とても大事な遠回りだったと今では言える。

