「翼先生達もうまくいってないって聞いたんだけど・・・・・・」




要君は、神妙な顔つきでそう言った。




こんな表情も見たことがない。



本当に男の人って変わるんだね。





「そうなんだ。まだ正式に別れたわけじゃないみたいなんだけど」




でも、あれからも桃子と翼先生はちゃんと話ができないままだった。



先生は、一度翼先生と飲みに行った。



酔った翼先生は未練たらたらで・・・・・・先生も辛そうだった。





「出会いがあるから別れもある。仕方がねぇのかな」




メニューを広げた要君はそうつぶやいた。




私達にはどうすることもできなかった。



真崎君のあゆみのことも、先生驚いてたなぁ。



真崎君は、先生みたいな男を目指すって言ってたのに。






「やり直せないのかな」



私もメニューを広げる。




「原因が、慎司の浮気だからな。一度そういうことをしたら、信じてもらえなくなる」






要君のその言葉を聞いて、自分自身のこと、桃子のことを考えた。




恋愛で一番大事なのは“信じること”なのかもしれない。



相手のすべてを知ることはできないし、見ることもできない。




離れている間のことを、信じられなくなったらおしまいだもん。