気がつくと、空がほんのりオレンジ色になっていた。



好きな時間。





「最近はこうしてゆっくり夕焼け空を眺める時間もなかったな」




先生は、伸びをしながらそう言って、私の肩にもたれかかる。





「学校でも、夕日見てないの?」



「そうだな・・・・・・見てないな」



先生、忙しいんだね。


いつも、廊下の窓から夕日を眺めていたのになぁ・・・・・・






「もう寂しくないから見てないだけかもしれないな、俺」





先生は夕日を眺めながら、七緒ちゃんのことを想っていたんだよね。






「会えない人を想って、夕日を見ていたから」




「七緒ちゃんだよね」




「ん?七緒の次は直だったよ。直を好きになってからは、七緒への気持ちが吹っ切れたんだ」