「直、俺の話、聞いて欲しい」
私、おかしい。
“水谷先生も一緒だったんでしょ”って笑って言えば、それで終わるのに。
どうして、涙が止まらないんだろう。
先生があまりにも優しく抱きしめるから。
先生の声があまりにも悲しそうだから。
「落ち着いて、直」
先生は、私を強く私を抱きしめてから、そっと手を繋ぎ、リビングへ連れていく。
情けないな、私。
もう何年も先生の隣にいて、少しずつ強くなれたと思っていたのに。
全然・・・・・・成長してない。
それどころか、高校時代の私よりも弱いよね。
あの頃は、ただ“好き”って気持ちで、先生を信じようと思った。
今は、独占欲が生まれてる。
奥さんなのに、隠しごとされたってことに傷ついてるんだよね。
それと・・・・・・
奥さんだから、先生は言えなかったのかなって・・・・・・
結婚しているから、先生は自由に恋ができないから。
心が揺れているのに、そのことに気付かないフリをして、先生は無理してたんじゃないかって・・・・・・
バカだな。
昔の私の方が純粋だった。
ちゃんと、透明な心を持っていた気がする。

