そもそも手芸はもう、わたしの人生の一部になってしまっているので、やめられないことは自分自身が良く分かってしまっている。

「はあ…」

暗い部屋の中、ベッドの中で何度も寝返りをうつ。

「~~~っ! ダメだ! もう起きよう」

一時間も悩んでいると、ノドも渇いてくる。

リビングに行くと、電気がついていた。

もうすぐ日付けが変わる時刻だ。

扉をそっと開くと、兄がいた。

小さな音のテレビをつけながら、スケッチブックを開いて、エンピツで一生懸命に何かを書き込んでいる。

「おにぃ、起きてて平気なの?」

「ああ、カナ…。お前こそ起きてて…って、明日は学校休みか」

兄はため息をつくと、スケッチブックとエンピツをテーブルに置いた。

「次のネーム、書いてたの?」