「びっくりしたぁ」


 正直な気持ちを吐き出すと、遼はくすっと笑った。

 優しい笑顔。大好きな笑顔。



「そりゃ、びっくりするよな、完璧一人の世界にはいってたし・・・で」

「で? って、なに?」

「なにを妄想してたわけ?」

「それは」



 ・・・って、いえるわけないじゃない!

 キスのこと思い出してたとか、抱きしめてくれた遼が、意外に筋肉質でがっちりして・・・って、なに考えてる、私。

 ぶんぶん、頭をふる。

 遼が、ふきだした。自転車のハンドルを片手で持ったまま、おなかを押さえて爆笑する。



「本気で、変。そんなに頭振って、目が回るって。変すぎ、芽生」

「へん、へん、いわないでよ!」



 ふくれてみるけど、遼の爆笑は止まらない。