不機嫌でかつスイートなカラダ

「運命って信じてるんだ」


「え?」


「初めて萌香を見たとき、ピンときた。オレ、絶対この子と結婚するって」


「ええっ」


「あの合コンの時、なんとかして隣に座ったものの、ずっと話しかけるきっかけ探ってた。そしたら、ああいう話題になって……。今しかないって思ったら、オレ、あんな発言してたんだ」


「そうだったの?」


「うん」


卓巳君は小さく頷く。

もう、頬だけじゃなく耳まで真っ赤だ。

卓巳君は照れ隠しのためか、片手で口元を覆った。


「ああっ。もう、こういうこと言わせんなよ。オレ、マジでかっこ悪ぃ……」


それから卓巳君は、あの時のことを詳しく聞かせてくれた。


二人きりになれたことを喜ぶ一方で、こんな簡単にホテルに連れ込んでしまって、軽いヤツって思われてそうだな……って、ずっと後悔してたんだって。

だからあの時、あたしのアドレスを訊くことができなかったらしい。


「そうだったんだ……。もぉ、卓巳君てそういうの全然話してくれないから、わかんないよ……」


「ごめんな」


「もぉ……不安にさせないで」


「うん」


見上げたあたしの顔に影がかかる。

卓巳君の唇が触れそうになった瞬間……。


「あ……」