仁は悔しそうに口を歪めた


「おい琉夏、お前どういう…」

碧が俺に向かって語りかけるが、無視した


ただただ、真鍋を見据え…ニタリと笑う

(逃げるのも、やめた)

逃げたっていつかはバレる

(だから、コワス)


「ちょっ…琉夏!」

仁は何かに気付き、俺を止めようとしたけど、無視。

『真鍋…ねぇ、遊ぼうよ
そんなモンで…倒れてちゃ、駄目だよ?』

いつもとは違う女らしい声で囁く
どうせ壊れたんだったら、隠す必要なんかない

後で苦しむなら、今を楽しんでやる


「琉夏ッ…」

遠くで俺を呼ぶ声がした
昔、よく知っていた声

もう何発殴ったか分からない

誰も止めないから…ヤメナイ
ただ、それだけーーー


「琉夏ァーーっ」


響く声…ハッとして真鍋を殴り続けていた手を止めた

どうして…? “あの人”の声が聞こえるわけ、ない