もう、これ以上奪われるのは嫌だった


何かにしがみつくことさえ許されないだなんて


「あ…、流夏、ごめん」

むこうからきたのは俊だった
“ルッくん”と呼ばないのは反省してるからなのだろうか

『…いや、いいよ』


そういってニコリと笑うと俊は目を輝かせて
「ルッくん、もう2時間目始まるよ!」

と笑った


流羽は自嘲気味に笑って



学校へ歩きだした


(結局、私は何も変わっちゃいない)

弱いままだ

だけれど

花が咲くように、
空に虹がかかるように

(人は変われるんだ)

譲歩、だなんて格好つけてないで
進まなきゃ、ならない


(レイ…、強くなるからね)

空を見上げると、微笑んでる様な気がしてきた

白い羽は、なによりも強く
なによりも弱い、神様からの贈り物。