「おぉ、すげぇなッ」

毒牙の笑い声が聞こえた


「…真鍋」

“彼”の本名を口にした
流羽が本気で怒っている。
…もしかしたら気に障ることをしたのかも

「流夏に、手出しはさせない」

「ここまできてシスコン…?

まぁ奪い甲斐があるな」


ククッと笑う真鍋は、恐怖心とは無縁だ

『流羽…いこうか』

「…流夏?」


『授業、遅れるよ』

流羽が不審そうにみていたけど、気にしなかった

はやく、この場から立ち去りたい

真鍋も何か察したのか何も言わずにただ仲間を
回収し、ふらふらと立ち去っていった

…秒速で


流羽は真鍋を追いかけようとしたけれど
今度は俺が征した

…大分遠くから人の気配がしたからだ

流羽はすぐに気がついて、冷静さを取り戻したようだった


でも、人が来てくれて助かった。

あのままだと…毒牙に何かを奪われてしまうような気がしたから。