だけど、それは少し…困るから


俺は急いで校長室に向かい、“ある物”を提出した

校長は残念そうにそれを眺めて、小さく笑う

「…遂に、決めてしまったか」
『……はい』

「優秀な君は、手放したく無いんだが
…これも、全て運命だろう」


『………』

返す言葉が、見つからない













【退学届】と描いてある紙を見て、笑う校長に返す言葉が。


「…誰かには、行ったかい?」
『……琉羽には』

「…そうかい

じゃあ、せめて」


これだけは許してくれないか、と校長は悲しそうに笑った


「…本当の連絡先を教えてくれないか?」

『……誰にもいいませんか?』

「あぁ…プライバシーの侵害、だからなあ」


それは確か、嵐龍がはじめて寮に来たときに話した言葉だと思い出した

すごく、懐かしいな…



だけど、もう辛い思い出になってしまった