「一昨日ぶり…かな。」


そう言って来院してくれたのは…いつか…ココアたちの散歩のときに会ったおじさん。


「お久しぶりです。
…お元気でしたか?」


「ああ…そちらが、以前お話しされていたオウムさん…」

最初は穏やかに話していた雅志の顔つきが、急に険しくなった。


「すぐ…投薬を。
あ…それから…どこかに…完璧に隔離できる場所…ないですか?」


「オウム病…です。」


雅志がその言葉を発した瞬間…病院内のスタッフ全員の顔が青くなった。


それはそうだ。


オウム病は人間に感染する危険もあるのだから。


「大丈夫ですよ。
絶対に僕たちが治しますからね。
治療に2日ほどかかると思いますが…今のように苦しがることはなくなりますので。」


雅志は穏やかに微笑むと、彼を帰らせた。


「さて。…やるか。
心配なのは奈留…ちゃん…だけなんだけど…
まだ投薬とかも不慣れだし…」


「雅志先輩が頑張るって言ってるのに、私が頑張らないワケに…いきませんっ!!」


2人で隔離できる場所にこもって、なんとか1日半で治療を終えた。


「ありがとうございますっ!!」


「いいえ。
また…いつでもいらして下さいね?」


飼い主さんに引き渡すと、
「葦田。三咲。
泊まり込みで疲れたろ?
今日はもう…帰ってゆっくり休め。
お前たちがいない間…猫ちゃんが寂しそうにしてたからな。」


院長…世話しておいてくれてたんだ。


「あっ…ありがとうございますっ…」


雅志の車に乗り込んで、私の家に向かう。