なんとか、昼食のアルペンマカロニを食べながら、雅志と2人で「アルプス一万尺」とかやってたら、頭痛だけは何とかよくなってきた。

この調子なら…

下山できるかもっ…


そう思った私。


だけどその考えが…すごく甘かったんだってことには気づかなかった。


しばらく、頑張って下山してたんだよ?
何度も転びそうになって…その度に雅志に抱き止められながら下山を目指した。

…だけど。


急に、また頭痛が襲った。
頭が割れるんじゃないかってくらいひどい痛み。
2日酔いのときとは…また違う。


「うっ…」

さらに、急に吐き気に襲われた。


「気持ち悪い?
いいよ、吐いて。」


そう言って、自分の持っていたビニール袋を差し出してきた。


本当、雅志って…善意の塊で出来ているわよね。


最初は必死に首を横に振った私だけど…
そうしている間に勢いよくえずいた。


なぜか吐いた後に呼吸が苦しくなった。
どこからかピー、とサイレンの音が聞こえた。

その瞬間、急速に意識を失い、雅志の腕の中に崩れるように倒れた。