〈奈留side〉


私は、1人で空港に向かっている。


何か、空港に着いた途端に、
今まで過ごしてきた日のことが鮮明に思い出された。

最初は、ただの先輩としか…
雅志のことは思っていなかった。

だけど、すごい器用で、実力あって…

動物の気持ちも、飼い主の気持ちも汲み取れるところ。

何か仕事で不備やミスがあったら、それを挽回するかのように泊まり込んで、
熱心に勉強してたり。


そんな…仕事に対する姿勢に…

惹かれていたのかもしれない。


私なんて…まだまだ未熟だけど…

雅志はちゃんとサポートしてくれた。


加奈先輩のことで、命の重さとか…

安楽死の際の悲しみ、辛さ…


ペットと心を通わせることは、飼い主さんと心を通わせることと同じ。

ってことは…日本一の獣医師を決めるあの大会で…知った。


それと…動物は、人間よりもはるかに…年をとるのが早いということ。


それも…アジリティで学んだ。


あの大会のおかげで…

いろいろなことを吸収できた。


練習は…大変だったけど。

アジリティの練習のとき…熱中症で倒れたからね。