すると。


「何よ!!
何でお父さんが今更私のところに来るわけ?
私には関係ない。
あの人が倒れようが…どうでもいいから。」


そんな言葉が聞こえた。


タイミング悪くドアが開く。


「さぁ、PEGA社のおふたりさん、
第2R始めましょうか。」


「待って!!」


「悠月…
あなたには…」

「『関係ない』って?
あるよ!!
友達でしょ?
小学校を卒業してから離れちゃったけど…
それから、お母さんと何があったかなんて知らないけど…
あの頃の春香は、毎日お母さんのこと私たちに話してたじゃない…
何かあってからじゃ取り返しのつかないことになるよ?
早くっ!!
対決なんて…いつでもできるからっ…」


「でも…」


「私のお母さんも肺がんで今闘病してるの。
それに私は気付いてあげられなかった。
でも…春香はちゃんと気付いてるんだから…
春香のお母さんのおかげでしょ?
今の春香が居るの。」


「春香先輩。
素直になったらいかがですか。
本当は…大好きなんでしょ?
お母さんのこと。
だからこうやって…作詞したんじゃないですか。
母への感謝の気持ち。」

さっき口を挟んだ男、絶対、この人に惚れてるな。
ってか相手の女の人…
悠月の友達だったの?

ってか…

悠月らしいな。


そういう、たまにストレートに感情をぶつけられる悠月が僕は好きです。


「和之っ…なんとかできない?」


「付いてきて下さい。
病院まで車出します。
…住所はわかりますね?」

「この近所です。」


「そこなら知ってる。
そこで小児科医やってる友達居ますし。」


車を出しながら電話をかける。

「…分かった。
ありがとな。」


「そいつ…分かりやすいように出入り口で待っててくれるって。」