湖に咲く 一輪の薔薇



「お客様。お決まりになりましたでしょうか」

水樹「あ!俺は…――…」


「はぃ。少々お待ち下さい」

『いいよねー。イケメンは』


水樹「へ?」

『だって、黙ってれば女寄ってくるでしょ?』


水樹「まぁーなっ」


『あ。でも、水樹の場合、黙ってらんないもんね』


拓巳「遊びとなるとクールになるんだ。こいつ」



『タチわっるー』

水樹「んだとぉー!」





ヴヴヴヴヴヴ

『ん。あたしのだ』


カチ

『もしもしー?』

《あ。恋華ちゃん?》

『…美代(みよ)様?』


ディスプレイを見ると【美代様】と表示されている。



因みに美代様というのは、お父様の再婚相手。お母様と結婚しているときから、付き合っていた。

あたしは勿論それを幼いながらにも分かっていた。





『どうしました?何か急用―』

あたしはチラッと卓真を見てから美代様と話だした。


《聞いてよ!今日ね…――…》

それから10分間ずーっと、お父様の愚痴を聞かされ、終いには

《あ!そう言えば、今日からね、櫺子(れんじ)と旅行行って来るね♪》


『旅行ですか?』


《うんっ。櫺子とねぇ、パリの別荘に☆》

『……何日間ですか』

《んーとね、二週間くらいかな?》


『そうですか』

《今日から行くからもうすぐ…―…あっ!もう時間!ばいばーい!お土産買ってくるからねー♪》


ツーツーツー




勝手に電話を切られる始末。