湖に咲く 一輪の薔薇

―3〜4年前―


「……――っ!」

「――っっ!!」

夜中、あたしはトイレの為にリビングに降りた。
その時は“まだ”仁菜財閥のご子息だった。





降りた時、お母様とお父様が言い争っているのを見た。

あたしはいつもの事だと思い、部屋に戻ろうとした。






その時だった。







「はぁ。いいだろ、恋華と卓真はいつか始末する。だが、どちらかを残さなきゃな。跡継ぎがいなくなっちゃあ困る。ックックックック」


初めて見た、お父様にあたしは動揺を隠しきれなかった。



でもその後、お母様は!?と、微かに開いた扉からリビングを眺めた。




居た…………

テーブルに片手を置きながら、静かに涙を流していた。



お母様の身体には赤い痣、青い痣。気がつかなかった訳じゃない。

幼いあたしには現実を受け止める事は到底無理だったのだ。