湖に咲く 一輪の薔薇


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家に帰ろうか迷ったけど、1人は嫌だから、仕方なく倉庫に戻った。


『たぁーいまー』

「お帰りなさいっ。恋華さん」


バイクをいじりながらあたしに顔を向ける不良A。


『ん。あ。ガムいる?』

「え。いーんですか!?ありがとうございます!」


『甘いの?辛いの?』

「えー…っと、甘いので」


『あいよー。何て名前?』


不良Aにガムを渡しながら聞く。



「俺ッスか。新宮 壬 (にいみや じん)ッス」


『よろしくー』


「よろしくおね…――…って、辛っ!?」


『あっはは!ごっめん、間違えちゃったー』



「棒読みですけど、そーゆー事にしときます。あーっ!辛いっ。恋華さん、こんな辛いの大丈夫なんですか?」





口元を抑えながら聞いてくる。しかもちょっと涙目で。

ちょっと…………





可愛いな、おい。






『大丈夫だよ。辛くないでしょ、全然。つーか、壬、可愛いーっ』



言いながら壬に抱き付く。


「えぇっ!ちょ、恋華さん!」


『あ、ごめんね。つい』




「ま、まぁ、いいです」














『あ、あたし上行くねー♪じゃねー、壬』




今更上に行くのは気がひける。だけど、ここしかあたしの居場所はない。





たとえ、〝希紗季〟としての居場所でも。