「どうして私は倒錯の国に迷い込んでしまったのかしら」

アリスが言った。

「決着をつける必要があるからさ」

チェシャ猫はゆらりとしっぽを振りながら言った。

「決着?何に?」

アリスは何もわからないという風に聞いた。

「倒錯の国は願いを叶える国。でも惑わされちゃいけない」

チェシャ猫はアリスの問いかけを無視して続けた。

「アリスが本当に幸せになるためには自分を裏切らなくちゃいけないからね」

「どうして?」

「倒錯の国のせいさ。目的と手段、本音と嘘、好きと嫌い……全てがさかさまになってしまう国だからね……さ、おやすみアリス。いい夢みられるといいね」

チェシャ猫はアリスをベッドに横たわらせてシーツをかけた。

「また会える?私、ちゃんと起きられるかしら」

「起きられるかどうかはどうでもいいことだよ、アリス。さあ、眠って……次の夢でまた会えるよ」

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