「お願いだから
喧嘩しても、出て行くなよ」

「…はい…
ごめんちゃい」

この空気が嫌で
私はあえて、ふざけてみた。

「反省してないな?」

雅也もそれを察したのか
私の脇をくすぐり始めた。

「ちょっ…ハハハハッ
ごめっ…フフッ…」

「フフって気持ち悪」

「あ、ヒドい」

私も雅也の脇をくすぐる。
二人で笑い合った。

そして、一瞬目が合い
お互いにくすぐることをやめ
私は目を瞑った。

「んふがっ」

キスを待っていた私は
雅也のイタズラをまんまと受けた。
鼻をつままれたのだった。

「俺を不安にさせた罰だ」

それからしばらくは
鼻が赤いままだった。

私の鼻を見るたびに

「トナカイさん」

と、言われ続けた。

そんなこんなで
あたしの家出騒動は解決した。