バイクをロビーの前まで転がしてくると、 自動ドアの向こう側で 女が嬉しそうにメロンパンを頬ばっていた。 なんだあの幸せそうな顔。 そう思うと自然と頬が緩む。 俺が来たのに気づいたのか、 女がぱたぱたと小走りで 外に出て来た。 「このメロンパンおいしい! ありがとうございます!」 「いえいえ。 まさかウマすぎて俺の分まで食ってねーだろうな?」 「失礼な!そんな食い意地張ってませんよ!!」 心外だと言わんばかりな顔をして、 俺にメロンパンの入った紙袋を差し出した。 .