ふと目の前にある海を見渡す。 この辺りに街灯はなく、月明かりだけが優しく海を照らしている。 それは――それは凄く綺麗で、 遠くまで続く広い海を見ていると、 俺の中のモヤモヤしたものがスッと消えていく。 「………ん?」 だがその海に今日は先客がいたようで。 珍しいな…… こんな時間に来るなんて俺ぐらいだと思ってたから。 毎年これくらいの時間にも来ることがあったが、 人が居ることは全くといってない。 .