「じゃあ……。」



そう言って、自分の家に帰ろうとした。
すると、




ザザッ




……何か、私と姫達の間に黒い物体が、風の様に素早く現れた、


と、思ったら。





『姫を渡せ』




全身を黒いマントで覆った、いかにも怪しい人が、低い声で言った。
何か杖みたいなのを持って。



な、何、こいつ……?




てか、姫って、ミシャナ姫の事…?
姫達を見ると、黒い人が誰だかわかるからなのか、ずっと睨んでいる。





「ね、ねぇ、誰……?」


恐る恐る聞いてみると、




「ルトさん、逃げてください。」



王女が静かにそう言った。



「え、な、何で――」



瞬間、



『姫、貴様を今すぐこの手で、殺してやるっ』



と、同時に黒い人が杖を振った。
と、思ったら!!


大きな爆発音と共に、黒い固まりが杖の先から私達に向かってきて――!?