霧様は思わず頬を緩めた私の肩に両手を乗せると、はにかんだ笑いを浮かべながら、核心の言葉を述べた。


「だから、露。
僕が学校へ行っている間、お留守番していてくれる?」


霧様のその言葉に、私は思わず言葉を詰まらせてしまう。


霧様が学校へ行ってしまわれると、その間私はこの家に一人。

当然他にもたくさん人はいるけれど、やっぱり霧様がいないと淋しい。


でも、霧様を困らせないためにも、学業に専念していただくためにも、ここは頷かなければいけない。


「はい……」


その淋しさを思うと、霧様の顔を見ることが出来なくて……。

でもどうにか小さく、本当に鳥のさえずりほどの小さな声で私は頷いた。


「淋しい?」

「……はい」

「でも、今週は学校には行かないで家にいるから。
用があったら露を呼ぶよ」

「……はい」