「霧様?露です……」


軽く扉をノックし、霧様からの返事を待つ。


そして、霧様の返事と共に部屋に入ると、霧様は私の姿にとても驚かれた。


「露、どうして……」

「……っ」


それもそのはず。

今日はいつも着ているはずのメイド服は腕に抱え、制服のまま霧様の部屋まで来たから……。


「露、答えて?
どうして制服のままなの?なんでその服を持っているの?」

「……」

「露?」


いつもと違うその光景に霧様はなにかを察知したのか、私に問い詰める言葉が優しくも鋭い。


そんな霧様の問いに、涙が溢れそうになる。


霧様……。

霧様――っ。


そして重い沈黙の後、私はゆっくりと霧様の名前を読んだ。


「霧様……」

「ん?」

「霧様、ごめんなさい……っ」

「露?」

「わ、たし……、も、う霧様とお付き合いできません……」

「!?」