「……ほんと、です」


だからさらに嘘を重ねてしまう。

霧様もそれ以上はなにも言うことなく、再び無言の空気が流れた。


家に着いたら……。

家に着いたら、本当に霧様に言わなくちゃ……。

霧様を傷つけるためじゃなくて、霧様を守るための別れの言葉を……。


でも時間を稼ぎたくても、たった数メートルの距離。


時間が経つのはすごく早くて、あっという間に家に着いてしまった。


「じゃあ露、部屋で待っているよ」

「……はい」


互いの部屋の前で別れると、私は部屋に入るなりそのままベッドに倒れこんだ。


「はぁ……」


今日は一段と疲れた気がする……。

でも、行かなくちゃ。

霧様のところに……。


別れを言うために……。