人を傷つけることって、 自分が傷つくから嫌だと思ってた。 でも、そうじゃなくて。 誰かが傷つくのを何もできずに見てることは、こんなに苦しいんものなんだ。 今まであたしこうやって、 人の痛みに向き合ってきたことがあったかな? 痛みを分かろうとしたことがあったかな? 今、目の前の健が、 そして今でも健を思ってる友里がどれだけ苦しんでいるか。 その時、 ふっと耳鳴りが和らいだ。 顔をあげると、健が微笑んでいた。