「そういえばさ…会長さん、何で俺が赤いアネモネあげたか知ってる?」

「え?」

振り返って茂音君を見るとまた悪戯っ子のような笑顔。
いつもそう。
茂音君との距離は縮まっているはずなのに…
これだけはずっと変わらない。
というかわざと…?

「何か意味があるの…?」

そういえばアネモネは赤だけじゃなくてたくさんの色がある。
でも、お父さんからの贈り物も赤いアネモネだった。

「あるよ。」

「なあに?」

「教えてあげない。」

そう言ってニッコリ笑う。

「意地悪…。」

「はは…っ。いつか教えてあげるよ。」

「いつかって…?」

「いつかはいつか。」

「約束?」

「いいよ、約束しても。」

「じゃ。指切り。」

そう言って小指を出すと、茂音君はニッコリ笑って、小指を出した。

「「指切りげんまん、嘘付いたら……。」」

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