「……お母さん?」

違うのは声だけじゃなかった。
いつもと違う顔。
まるで恋をした女の子みたいな…だけど苦しい顔…。

「ちゃんと育てるのは大変よ。」

お母さんはそれだけ言うと荷物を持って家を出た。

「………?」

何が言いたかったんだろう?


「大きくなあれ。」

茂音君の書いたノートを見ながら、水をあげ過ぎないようにあげて、様子を見る。
水をあげすぎてしまうと腐ってしまうから注意と何度も書いてあった。

これくらいでいいかな?

土を湿らせるだけ。
元気がない日はちょっと多めにあげる。
もっと元気がない日は外に出してあげる。
小さなことだけど毎日しなければならないし、楽しいことだった。

心が軽くなったせいか、少しだけ勉強にもやる気が出てきた。