「ま、冗談は置いといて。そろそろ植え時だよ、アネモネ。植えた?」

「…………まだ。」

…というか、もう諦めてた。

「一緒に植える?」

「え?」

彼は飛び切りの笑顔で笑った。
大丈夫、諦めないで…って聞こえた気がした。

「うん………。」

「決まり!!じゃ、放課後ね?」

それだけ嬉しそうに言うと、茂音君はスッと立って授業に戻って行った。


       *


「ここでいいかな?」

茂音君と放課後に植えたアネモネ。
彼のアイデアで、植木鉢を私の家の玄関に置くことにした。
もちろんお日様の光も入るし。
何より両親の目に入る場所。


急に…私にも光が射したような気がした。


茂音君の一言のおかげかもしれないけど。
アネモネを植えてる時に彼がポツンと零した一言。

「ちなみに…勉強するのって、明るい知らない未来を見るためだと思うよ。」

「え…?」

「なんとなくね。」

「……。」