「よいしょ。はい、会長さんもここ座って?」

彼は階段を昇りきり、屋上の入口の段差に腰をかけた。
それから隣をパシパシと叩いて、私も座るようにと促す。

「……会長さん?」

「……。」

なんだか私ばっかり悩んでバカみたい。
隣にドンッと座ると茂音君は楽しそうに笑った。


しばらく、雨の音を二人で聞いた後、ポツンと茂音君は話し始めた。

「ねえ、会長さん?」

「なあに……?」

「会長さん、最近俺があげたノート見てないでしょ?」

「………。」

「やっぱり………。」

彼は思い切り大きな溜息をついた。

「せっかく俺の試合の日も書いといたのにー。」

「え……?」

雨から視線をずらして彼を見ると、悪戯っ子みたいな顔をしていた。

「ま、会長さん来なくても勝てたけどー。来てほしかったな。」

「………なっ…。」

よく言う…。
練習の時だって目も合わせてくれないのに……。