「……やっぱり俺のせいか…。ごめん、大事な時なのに。」

茂音君の俯く顔を見て、言葉にならなくて、思い切り首を振ることしか出来ない。

「俺、会長さんに会うの、もうやめるね……。」

「え……?!」

首を振るだけでは気持ちは伝わらなかった。

「大丈夫!アネモネはこれ通り育てれば!」

茂音君は妙に明るく話すと、ズイッとノートを差し出した。
その勢いに負けて、思わず手に取ると、茂音君はにっこり笑って手を離した。

「……じゃあね。」

「あ………。」

彼はクルッと向きを変え、屋上を去って行ってしまった。


私はやっぱり何も言えなかった………。

いつもそう。
言いたいことが言えない。
言うのが怖い。
話しても伝わらないかもしれない。
そう考えてしまうのは、私の悪い癖だった……。

何も出来ない自分が悔しくて…手に持ったノートをギュッと握り締めた。