そう。
結の言う通り。

今、成績を落とすわけにはいかない。

私は両親の希望通りの大学へ入らなければならない。
それに、一度落ちた成績は簡単に上がるものでもない。

ちょっと頭を冷やしてこよう……。

「…ちょっと屋上行ってくるね。」

結にそれだけ告げて、私は屋上へ向かった。


       *


「はぁ………。」

屋上で今にも泣き出しそうな空を見上げながら、深い溜息をつく。

まるで私の心の中みたいに、どんよりした空。
元気になるどころか、ますます落ち込んでしまう。

「会長さん?」

「え…?」

誰も居ないはずの屋上。
フッといつもの声がした。

「茂音君………。」

振り向くと、今、一番会いたくて、一番会いたくない彼がそこに居た。

「…?どうしたの?なんか元気ない?」

茂音君は上から降りてきて、心配そうに私の顔を覗く。

いつもの事なのに、なぜだか心が痛い。