「そんな面白いことがあったから涙花の模試が酷いのか…。」

結はマジマジと私の成績を眺めながら楽しそうな顔をする。

あの屋上事件から数日後。
受験生には付き物の模試があって、点数は散々。
先生にも体調を心配されるくらい、今までにはない点数を取ってしまった。

「涙花、まさか、恋煩い?」

「え!?」

一瞬、心臓がドキッと音をたてた。

あの日から、なかなか茂音君の笑顔が頭から離れなくて、勉強も手付かず。
ボーッと彼からもらった植木鉢だけを見ていた。

「なんだ、図星か。」

「や…、別にそんなんじゃ……。」

「そ?」

「ホントだってば。」

疑う結に私ったら言い訳みたい。
でもホントにまだ気になるだけで、好きだとも思えないし…

「ふうん。ま、どっちでもいいけど。今、成績落としちゃまずいんじゃないの?」

「………うん。」