だけど私は気になって仕方がない。

「アネモネから茂音君になったの?」

「会長まで…!もうその話はいいから!」

彼はますます真っ赤になる。
今まで屋上でも涼しい顔をしてたのに。
なんだか可愛くも見える。

「はい…!会長も帰る帰る!」

真っ赤に顔を染めたまま、彼は慌てて植木鉢とアネモネの種を袋に入れる。
それを私にズッと渡すと、背中をグイグイ押してきた。

「解った…解ったから!」


茂音君は何だかんだ言いながらも、そのまま二人乗りで家まで送ってくれた。

その日の風は、なぜだか、昔みたいに優しい気がした。