「でも…。私、花なんて育てたことないし…。」

「心配かい?大丈夫だよ。それに何かあればモネに聞くといい。」

「モネ………?」

「………俺。」

「え?」

振り返るとネコっ毛の彼が恥ずかしそうな顔をしていた。

「俺、茂るに音って書いて茂音って言うの。」

「茂音……。」

¨モネ¨なんて、男の子にしては可愛すぎる名前。
目を丸くする私を見て、彼はますます赤くなる。

「お嬢さん、モネの名前もアネモネから来てるんだよ。」

「え?」

「うぁ!じいちゃん、余分なことはいいよ!!ほら!店戻れよ!!」

耳まで赤くした茂音君はおじいさんを店へと押しやる。

「ははは。解ったよ。お嬢さん、ゆっくりしていきなさい。」

そのまま、おじいさんは楽しそうに店に戻って行った。