「え……?」

「いいから貸して!」

驚く彼から図鑑を取り返し、赤い花を見る。
それは夢で見た赤い花によく似ていた。
だけど、そこには小さな写真があるだけで、花の名前はなかった。

「やっと見つけたのに…。」

また振り出し。
これだけじゃ解らない。
それに、違う花かもしれないし…。

「…あ…もしかして……会長さんの探し物ってアネモネ??」

「え?」

それまで忘れていた彼から思いがけない言葉が聞こえた。

「いや…だからその花?」

「そうだけど…この花知ってるの?」

「まぁ……家、花屋だし?」

「…?!」

「そんな驚く?」

「や…ごめんなさい。あの…お願い!私この花が欲しいの!連れてって…!」

「連れてってと言われても…。」

「お願い…!」

「……。」