秀高中学校。

それは、この日本国で唯一、現実離れした中学校である。

別に、校舎が動いたり、幽霊がでるわけでもない。

ただ、授業がないのである。

だから自分のしたい勉強を自由にすることができるのである。

まとめると、自由奔放で、生徒の独自の判断を尊重する中学校なのである。


「嫌だな~。
なんで僕らが秀高中学校にいかなきゃいけないのさ、ねえ雁太。」

4月10日、僕、海桐尚平は、小学校のころからの親友、神岡雁太と秀高中学校への道を歩いていた。

今日は、秀高中学校の入学式。

秀高中学校は、日本の若者の学力向上のために作られた、新しいスタイルの全寮制の中学校である。

「選ばれちゃったんだから仕方ないだろ。
切り替えて中学校生活を、満喫しようぜ。
前向きに明るく、明るく。」

もう一つ、説明を加えておく。

秀高中学校は、今年から開校のため、先輩はおろか、生徒もいない。

知名度は、そこそこにあったのだが、全寮制ということもあって、世間の評判が、芳しくなかったらしい。

結果、誰も進学しなかったのだ。

そこで、政府は、新中学校の中から、くじ引きで、150人を選びだし、強制的に入学させたのだ。

僕も雁太も、その被害者の中の一人である。

「それはそうだけど、なんか嫌な予感がするんだよね。
確信はないけど…。」

「尚平、もっとプラス思考に。
そんなんじゃ、中学校生活、三回のクリスマスを一人で過ごすことに、なっちゃうよ。」

「ほっとけ。
雁太こそ、小学校の卒業式の日に、告白して振られてるくせに。」

「今、パンドラの箱が開いた。
急いで蓋をしないと、不幸になるぞ。」

僕は、一人でわめいている雁太を放置して、先を急いだ。

それから少し歩いて、僕らは、秀高中学校に着いた。

「いよいよだね。
ワクワクしてきたよ。」

「頑張って、彼女作るぞ。」

「結局、雁太はそれかよ。」