道摩の娘

 りいの呼びかけに、晴明は小さく顔を歪めた。

 泣き出しそうな顔にも見えた。


「晴明…」


 何を言えばいいのかわからない。

 りいもまた、途方に暮れた。



 やがて、晴明がりいを呼んだ。

 微笑みを作ろうとして、失敗して、泣き笑いのような表情で…

「ごめん」

 一言だけ告げて、踵をかえした。


 りいは、呆然と見送ることしかできなかった。

 のろのろと転がった刀を拾いあげ、汚れを袖で拭う。

 頭の中が真っ白だった。