『なんでケータイでねぇの?何回もかけたんだけど?』
あたしはケータイをだした。
「ほんとだ」
なん十回もかかっている彼方からの電話。
『まぁ気付くのにも無理あるよな、こんだけうるさかったら』
「ゅ、優莉ちゃんは!?」
『おいてきた。』
「な、んで?」
『俺は橋本より若葉と一緒にいたいから』
そんな言い方しないでよ。
期待しちゃうじゃん。
「告白…されたんじゃないの?」
『振ったよ。俺好きなヤツいるし』
「え…」
誰?怖くて聞けない。
『そいつ、可愛くて、優しくて…』
聞きたくない…。
あたしは耳をふさいだ。
なのに…彼方があたしの手を耳から遠ざけた。
『素直じゃなくて、顔赤くすんのに意地はって、あまのじゃくで、そんなとこが好きなんだけどな。…今ので分かったよな?俺は若葉が好きだ』
「ふぇ?」