傷×恋=幸

きっとちーが笑い飛ばしてくれたから。



ちーは俺の手を離さなかった。



「風都のこと、ちょっとわかったよ」

「旦那が稼いだ金で毎回ラブホ。名前までウソで、デートなんかしたことねぇのに」

「好きだったんでしょ?」

「好きだった…。ガキ過ぎたってのもあんのかな。初恋って忘れらんないって言うし」

「忘れさせてくれる人が見つかるといいね」



ちーにそう言われてなんだかつっかえていたモノがと取れて行く気がした。



恋をしなかったから…前に進めなかったのかもしれない…。



間違ってた、俺…。



「ちーってなんなの?」

「へっ?」

「俺、結局全部吐かされてんじゃん」

「そう…だね…」

「ムカつく。やっぱりぶっ壊してぇ~」

「風都になら…いいよ…壊されたって…」

「は!?」

「うん、いい…」



意味わかんない。



なんでそんな顔してんだよ。



「蹴られるからヤダ」

「なっ!?」

「そろそろ帰るか~」



なんだか…ドキドキした。