傷×恋=幸

ちーの手が…俺を動かしてくれる…。



「待ってっ!!」



反対の手をランさんに握られて泣きそうになった。



やっぱり俺、ランさんがスゲー好きだったらしい…。



ちーの手をふりほどいてランさんを抱きしめたい…。



「ごめんね、風都」

「幸せ…そうじゃん…。自分だけ…」

「もう不倫なんてしない。風都が気づかせてくれた。ホント、ごめんなさい…」

「うるせぇよ…」



マジで泣きそう。



完全に終わったんだ…。



俺の恋…。



「手、離してください。風都、行くよ」



ちーがいなかったらどうなってたんだろ。



ちーに救われるって、なんか悔しい。



手を引かれるがまま歩き、振り返らなかった。



「不倫してたの?」

「バレた?」

「うん」

「知らないうちにってヤツ?ハマった頃に気づいちゃって。言えないまま最後は旦那と一悶着」

「修羅場?」

「そうだな」

「あははっ!!さすが風都だね、タダじゃ終わんない感じが」



あのときみたいに涙は出ない。