傷×恋=幸

今日は親父も母ちゃんもいねぇから。



俺らが帰って来なけりゃ悠都のパラダイスだっただろうに…。



「午後から出かけねぇの?千衣ちゃんと」

「盛ってんな、受験生」

「1000円やるから買い物行ってこいよ」

「ふたりだから2倍」

「なんのためにバイトしてんだろ…」



2000円の賄賂を受け取り、ちーを外に連れ出すことにした。



何か理由が欲しいとこだ…。



「ちー、お散歩の時間だよ」

「は?あたし犬じゃない」

「いいから行くぞ。首輪買ってやっから」

「なんで!?暑いから引きこもろうよぉ~…」



無理矢理出した。



頑張れ、悠都。



ブーブー言いながら着いてくる空気の読めない無駄に美人なヤツ。



「ふたりにしてやれよ、たまには」

「あっ、そういうことか…」

「そういうこと」

「でもヒマ…」

「2時間もあれば余韻に浸れんじゃね?」

「なんの余韻?」

「経験すりゃあわかる」



余韻とか…懐かしい響き…。