ちーの家までは電車に乗らなきゃ行けない。



近場に引っ越して欲しかったけど、良平さんの持ち家だから仕方ない…。



しばらく電車に乗り、やってきたのはいつ見てもデカいちーの家。



インターホンを押すと聞こえたのは俺の嫌いな声だった。



「今あけるから」



玄関が開いて顔を出したのはちーの父親。



できれば顔なんか合わせたくねぇけど。



「迎え来た」

「今準備してるからあがって待っててって、千衣が」

「お邪魔します」



この男、いつも笑顔。



ウソくさい笑顔だ。



俺に対して、どんな感情をもってるのかはわからない。



だけどよく思ってないことは確かだろう。



言いたいことがあるなら言えばいいのに。



彼女の親とか、そういうの抜きケンカしてやるけど。



「コーヒー…飲む?」

「いらねぇっス」

「そっか…。きょ、今日も派手というか…個性的だね…」

「普通」

「普通…だね、今の若者らしい」



カラフルってわけでもないのに。