傷×恋=幸

夏川家にいた時は滅多にひとりにはならなかったし…。



いつも風都と同じ空間にいた気がする…。



ベッドの下で横に倒れてるクマを拾い上げ、ギュッとキツく抱きしめた。



「クマクマクマが風都になればいいのに…」



なにかあったわけじゃない。



だけど無性に泣きたくなって…クマに顔を埋めて泣いた。



寂しいって、こんなにキツいものだったかな?



家族の暖かさとか、恋の温もりを知った今、寂しさと言うものに押しつぶされそう…。



風都に泣きついて泊まってもらえばよかった…。



取り出したケータイで風都の番号を出し、鳴らしてみた。



「どうした~?」

「寂しい、風都がいなくて…」

「泣いてんの?」

「泣いてるって言ったら…どうする?」

「どうもしねぇよ。弱虫嫌いだし。強くなれって前に言った」



風都は甘やかしてはくれないか…。



風都の嫌いなタイプってのはわかってきた。



すぐ泣く女と、弱い女。