傷×恋=幸

苦笑いの良平さん。



だけど言っときたいことがある。



「良平さんと家族になる努力はします。でも、あたしの原点みたいなものは風都なんです」

「そんなに…思ってるのか…」

「風都はあたしの一部として考えてもらえます?風都より大事なものはこの先できない。むしろ、作る気もないです」



いつかは風都と一緒に住んで、風都の子どもが欲しい。



そこまで考えちゃうくらい、あたしの中で風都は絶大なんだから。



「わかったよ、連れておいで」



良平さんがそう言ったから、次の休日に風都を初めて家に呼んだ。



風都に緊張なんて文字はなくて、友達の家に上がり込むような雰囲気。



「久しぶりだね、風都君」

「そうっスね」

「あっ…嫌われて…るのかな?」

「当たり前じゃないスか。俺からちーを奪ったんだから」

「それは…」

「別にいいっスけど。俺はアンタ嫌いだから」



相手は仮にも彼女の親です。



だけど風都らしいかな…。