傷×恋=幸

家の中に入ると、帰ってきてソファーでビールを飲んでる良平さん。



よく知らないけど、会社の重役なんだとか。



「ただいま」

「お帰り。ご飯できてるけど食べるかい?」

「あたしがするって言ったのに」

「だから千衣が褒めてくれたカレーにしたんだよ…」

「食べる。着替えてきます」



カレーだけはおいしいからね。



着替えてからふたりの食卓。



前みたいにユズさんが風都に小言を言う声も聞こえない。



悠都君がテレビ見ながら食べるわけでもない。



静かな食卓…。



「良平さん、今度風都連れてきていい?」

「風都君…どっちかな…」

「大人っぽくない方」

「あの子か。付き合ったり…してるのか?」

「そうですよ。あたしの命の恩人。風都がいなきゃ、あたし死ぬと思います」



反対なんかされたら、あたしはすぐにこの家を出る。



風都のことだけは否定されたくない。



見た目が不良っぽくたって、あたしが知ってる風都は弱くてカワイイの。