傷×恋=幸

ぶーぶー言ってる風都にトイレ掃除の手順を教えた。



「掃除は午前と午後に1回ずつやるからね」

「は~い」

「じゃあ次はこっち」



風都になにかを教えるなんて不思議…。



でも楽しくなったバイトはあたしの活力になりそう。



「千衣ちゃん、送ってくから」

「風都は?」

「一緒だよ」



帰りはいつもサキさんが送ってくれる。



あたしをいまだに大事にしてくれてるって実感…。



断ったって意地でも送ってくれるんだ。



車に乗り込み、向かったのはうち。



風都は来たことがないけど、サキさんは挨拶に来た。



「俺とちーの休み被らせろよ」

「わかってるって」

「ちーがいなきゃぜってぇ働かねぇのに」

「でも楽しいだろ?」



風都は本当に服が好きだから。



絶対ハマると思うんだよね。



何度か雑誌に取り上げられたことのあるサキさんのお店。



最近はお客さんも増えた気がする。



「へぇ~、ここがちーの」

「うん、今度来る?」

「行…く…」



照れくさそうにそう言った風都にキュンとした。